2007-02-15

新東京タワー、墨田区に決定

高さ610メートル、東武伊勢崎線押上・業平橋両駅周辺に

[私が過去にニュース媒体で出稿した記事の再掲です]

 NHKと在京民放テレビ5局は31日、首都圏の地上デジタル放送用電波塔として計画されている新東京タワー(仮称)の最終候補地を、東京都内の「墨田・台東エリア」に決定した。2011年春の完成を目指す。今後事業主体として名乗りを上げた東武鉄道を中心に事業会社が設立される見込み。

新タワーの建設候補地は、05年3月28日にNHKと在京民放5局が、建築や観光分野の有識者で構成する「新タワー候補地に関する有識者検討委員会(委員長:中村良夫・東京工業大学名誉教授)」からの答申に基づき、「墨田・台東エリア(押上・業平橋両駅の周辺地区)」を第1候補地に、「さいたま新都心」を第2候補地に選定した。最終決定は当初05年12月末だったが、協議時間の不十分を理由に06年3月末まで延期された。

候補地の中心は、事業主体となる東武鉄道の貨物用操車場跡地で、広さは約6万4000平方メートル。押上駅には東武伊勢崎線、京成押上線、都営地下鉄浅草線、東京メトロ半蔵門線の4路線が乗り入れる。同跡地は墨田区の区画整理事業により、同区の「広域拠点」として約4000平方メートルの駅前広場や、道幅の広い道路、住宅や商業施設などが計画されている。新タワーが建設されれば中核施設となる。

東武の計画では、タワーの仮称を「すみだタワー」としている。高さは東京タワー(333メートル)の約2倍となる610メートルで、地上350メートルと450メートルに展望ロビーと特別展望ロビーを設置する予定。建設費は概算で約500億円を見込む。計画発表当初、「墨田・台東エリア」は羽田空港の飛行ルートにあたり、航空法上の高さ規制があったが、05年4月に国土交通省が同法の規制を緩和し、建設が可能となった。

新タワーは地上デジタル放送以外に、4月1日に始まるテレビ付き携帯電話や車載テレビなどの移動体向け地上デジタル放送「ワンセグ」や、災害時の情報発信にも利用される。現在の東京タワーは、新タワー完成後も災害時などの予備として使用する予定。

墨田・台東に最終決定した理由として、第1候補地に選定された際の条件である、◆隅田川をはさんだ台東・墨田両区の区民と行政が一体となった、観光やまちづくり活動の支援や推進が図られること◆地元住民の受け入れ態勢があること◆都市防災に関する行政支援がなされること-の3点について、放送事業者が有識者委員会に、進捗(しんちょく)についての意見を求めたところ「概(おおむ)ね妥当である」との見解を得られたからという。また、有識者委員会からは◆都市文化の創世拠点◆選定時の3条件◆タワーの安全性と防災性-の3点について、「引き続き、関係者の積極的な取り組みを切に望む」との見解が出された。

一方、さいたま新都心の敗因は、放送事業者が実施した第2候補地に決定後の調査で、デジタル放送特有の「SFN混信」と呼ばれる電波障害が発生する世帯数が約14万世帯と、墨田・台東の約2万2000世帯と比べ約7倍となることだという。東京都港区のTBSで行われた、放送事業者の新タワー検討メンバーが出席した記者懇談会で、フジテレビの飯島一暢総合調整局長は、「3月に入ってからSFN混信の検証結果が得られた」と、最終決定が遅れた理由を述べた。

放送事業者と東武は、1年ほどかけて賃料や事業会社への出資など、具体的な条件を詰める予定で、新タワーの着工は08年になる見通し。【了】

画像:すみだタワーのイメージイラスト(提供:東武鉄道)



初出:2006年03月31日15時24分 吉川忠行/ライブドア・ニュース

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