2009-02-28

「再録・デザイン交番」を終えて

「デザイン交番」を掲載したのは2005年5月30日から6月30日までで計24回です。このうち、最後の母島駐在所は遠く、自費で行くのが厳しいので警視庁から写真を借りました。今回の「再録・デザイン交番」は、母島駐在所を除いた23カ所の写真を現像し直したものです。

今回は取材した当時のことや、再録版を編集していて感じたことなどを書いてみます。

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当時私が所属していた報道部門「ニュースセンター」(04年12月1日から07年1月31日まで存在)では、記事配信が始まった05年2月からだいたい3カ月に一度、各記者が交代で企画取材をやっていました。
私はこの年の3月に新東京タワー誘致の企画もの(特集・どうなる?新東京タワー)をやったのですが、6月用の企画として公共空間のデザインについてまとめてみようと思い、警視庁に取材したのがデザイン交番の連載でした。これは私がまちに関する取材を続けたいという思いがあったからです。

取材は4月下旬から5月中旬まで9回に分けて行いました。
基本的に会見などの取材が入りにくい午前中に隣接する交番をまとめて取材していました。
例えば銀座方面だと、日比谷→数寄屋橋→銀座四丁目と各交番をまわり、午後から通常の取材に戻る感じです。多摩方面は都心へ戻るのに時間がかかるので、明らかに予定が入らない日に数カ所まとめて取材するか、手早く1カ所撮って社に戻るようにしました。

撮影に使ったカメラは、撮り始めの4月下旬はD1Hで、5月からはD2Hsを使っています。レンズはどちらもAF-S DX 17-55mm F2.8Gです。現像をNikon Capturer 4でやってPhotoshop CS1で調整をしたと記憶しています。
ただ、再録版の長辺320ピクセル程度のデータだと、どれがD1HでD2Hsなのか撮った本人もファイル名を見ないとわからないものです。

今回の再録版では、現像はCapture NX2、調整はPhotoshop CS3で行いました。CS1にはなかった「レンズ補正」フィルタを使えたのは助かりましたが、できればアオリ撮影ができるPC-Eレンズの24mmと45mmで撮り直したいものです。
本当はフォーマットを4対5などに固定したかったのですが、そうすると交番によっては余計なものが入り込みすぎるので3種類くらいのフォーマットを使わざるを得なかったのが残念です。

デザイン交番は特注材料を使うなどで総工費が通常の交番の約2倍になり、いまの東京都ではまず建設不可能な代物です。実際、デザイン交番では壊れた所があっても補修に費用がかかるので現場であれこれ工夫して延命しているそうです。それ故、今では警視庁の施設課で地域の特性を生かした交番を設計しているとのことでした。こちらは極力汎用品を利用する設計になっているそうです。

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まぁ、この手の企画取材は手間がかかる割に会社側が求める「アクセス数が桁違いに多いコンテンツ」にはならないので、アクセス数至上主義者が牛耳ることが多いネットメディアではやりにくいなと改めて思いました。
かつてダイアナ妃を追っていた報道カメラマンが事件前に天安門事件も取材していたような、日々エンタメで数字の実績を出した上で社会的に意義のある取材も行うスタイルが、以前よりも顕著になってきたと感じます。
実際、海外の通信社の仕事も、日本ではスポーツ・エンタメ(主にハリウッドスター)・ビジネスが中心にならざるを得ないのですが、需要を考えると致し方ないのかもしれません。

最後はグチのようになってしまいましたが、企画取材や作品撮りも続けていこうと思います。

「再録・デザイン交番」はこちら

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