2008-09-16

新東京タワーを秋の夜空に

高さ610メートル、10月に東京・墨田で

[私が過去にニュース媒体で出稿した記事の再掲です]

隅田川花火大会で有名な東京・墨田区に、2011年開業予定の新東京タワー。高さ610メートルの新タワーを光で表現するイベント「光タワープロジェクト」(平成光勧進プロジェクト実行委員会主催)が、10月6日の午後8時から午後10時半まで、建設予定地で行われる。

 新タワーを表現する光は、2台1組のサーチライトが1本の光を構成し、3本の光が610メートルのタワーを秋の夜空に描く。光のタワーがよく見えるのは、建設予定地から半径1キロメートル位の場所だという。

実行委員会では、プロジェクトに賛同する610人の有志「旦那衆(だんなしゅう)」を区内外から募集中だ。

ここで、新東京タワーとはどのようなもので、なぜ墨田区に建設されるのかについて触れておきたい。

新東京タワーとは?

新東京タワーは、テレビの地上波放送が現在のアナログ方式からデジタル方式(地デジ)に完全移行するのに伴い、2011年から現在の東京タワーに替わり、首都圏の地デジ用電波塔の役割を果たす。

新タワーの高さは地上610メートルで、350メートルと450メートルの部分に第1、第2展望台を設ける。第2展望台の外周には、ガラスで覆われた空中回廊を設ける計画だ。建設予定地は、東武伊勢崎線業平橋-押上間に隣接する、東武鉄道が所有する広さ約6万4000平方メートルの貨物用操車場跡地。08年に着工し、建設費約500億円をかけて、11年春の完成を目指す。

事業主体の東武鉄道は、新タワーの年間来場者数を、初年度540万人、開業後30年平均を270万人と見込む。

なぜ墨田区に?

新東京タワーの建設予定地をめぐっては、2004年にNHKと在京民放テレビ5局で構成する「在京6社新タワー推進プロジェクト」が構想を発表後、池袋や浅草、足立など、15の候補地が激しい誘致合戦を繰り広げた。

 05年3月、放送事業者が墨田区の押上・業平橋地区を優先的に交渉する「第1候補地」に、さいたま新都心地区を「第2候補地」に選定。その後、電波特性などを調査し、06年3月に押上・業平橋地区を建設予定地に決定した。

放送事業者が押上・業平橋地区に決定した理由は、事業主体と建設予定地の確保ができていることに加え、第1候補地に選定時の条件である、

◆隅田川をはさんだ台東・墨田両区の区民と行政が一体となった、観光やまちづくり活動の支援や推進が図られること

◆地元住民の受け入れ態勢があること

◆都市防災に関する行政支援がなされること

この3点が、ほぼ順調に進んでいると判断したためだ。

おじさんだけじゃない“旦那衆”

新タワーの高さと同じ人数の有志「旦那衆」を集める「光タワープロジェクト」。6日昼現在で174人の個人・団体が集まっている。“旦那衆”と聞くと、地元で商店を営む「おじさん」のイメージがあるが、実行委員会のホームページには「女性はもちろん、区外、外国人の方、グループでの参加も歓迎します!」と、男女、区内外を問わず広く募集中だ。

会員は、議決権が有る「運営会員」と趣旨に賛同する「賛助会員」の2種類。どちらも会費は1口1万円で、ホームページ上の旦那衆名簿「光勧進帳」に名前が記載される。

実行委員会を構成する委員9人は、全員墨田区在住で、同区内でまちづくりを提案するNPO「向島学会」の会員。2006年12月に光でタワーを表現したいという話が出て、07年3月には会員以外も加わり、実行委員会を発足した。事務局長の友野健一さんは、「発足当初は向島学会に所属していない人が半分くらいだったが、活動を続ける間に、気が付くと全員が会員になっていました」という。

光で新タワーを描いた後の活動については、「フォトコンテストやエリアマップの作成を検討しています」(友野さん)とのこと。新タワー完成前から地元の新名所を活用したまちづくりを行っていくようだ。

写真1:光タワープロジェクト
写真2:新東京タワーの建設予定地(撮影:吉川忠行)

■関連リンク
光タワープロジェクト
Rising East Project(東武鉄道)
向島学会



初出:2007年09月06日21時00分 吉川忠行/オーマイニュース

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