2006-12-18

ノリエット

クリスマスケーキ特集3日目は下高井戸のノリエット。
この特集ではいわゆる「ケーキ激戦区」から選ぶという視点ではなく、こだわりとか地域に根付いているお店を探して取材をお願いしている。そんな狙いにピッタリなお店だ。

永井シェフは東京出身で、フランスでは6年ほど仕事をしていたそうだ。お店のコンセプトはフランス在住時に抱いた「日本の食文化の危うさ」が根幹にあるように感じた。

フォションなんて金持ちと観光客だけ
「フランスは食文化の守り方がすばらしい」。そう語る永井さんによれば、フランスでは住宅地にフランス菓子屋があり、皆そこでお菓子を買うそうだ。「フォションなんてお金持ちと観光客しかいないんですよ。みんな自分ちの周りでおいしいお菓子が買えるから、そんなことしないんです」と永井さんは日本人のブランド志向と食への意識に疑問を投げかける。

同時にフランスではプレゼント用の特別なお菓子は、高いのが当然という意識があるという。「特別なときに普段と違うものを作るわけだから、当然普通のお菓子と同じ値段にはならない。4倍近くなることがあるけど、それが当たり前って感覚なんです」。これが日本だと「(普通のお菓子の)倍って言ってもひかれちゃうでしょうね」。

近所のフランス菓子屋
ブランド品なら高くても買い、近所のお菓子屋さんだと、たとえそれより安くても普段より高いと特注を躊躇してしまう日本人の価値観。永井さんは自分のお店が、この辺に住む人にとって、家の近くで良質のお菓子が買える「近所のフランス菓子屋」になれればと考えているようだ。ケーキやチョコ、焼き菓子に加えてパンやオリーブも売っている。

「こういう考えをねぇ、僕一人で言っててもねぇー、ダメなんですよ。店にいたってお客さん一人一人にこんな話するわけにもいかないし。マスコミの人に伝えてもらうしか方法無いんです」と自らの哲学を理解してもらうのに苦労されているようだ。

お客さんがケーキを食べて、食生活の幅が広がれば、永井さんの思いは伝わったことになるような気がした。
今回の僕の写真でどれだけの人に永井さんの考えが伝わっただろうか。
住宅街に良い店あるよ!そういう思いで載せた。

記事はこちら。
ノリエット ~ビュッシュ マロン~(06年12月17日掲載)

0 件のコメント: