特集・どうなる?新東京タワー(5)
新東京タワー(豊島区・池袋)
[私が過去にニュース媒体で出稿した記事の再掲です]
豊島区内の新東京タワー建設候補地は、池袋のサンシャインシティの東側に隣
接する独立行政法人・造幣局東京支局の敷地内。同支局では、収集用貨幣である「プルーフ貨幣」と勲章を製造している。その約半分(約1.67ヘクタール)を使って新東京タワーを建設し、残りの土地には造幣局の新工場が建設されることになる。東池袋4丁目地区および南池袋2丁目など、周辺地区の再開発も進められている。
2003年12月、「在京6社新タワー推進プロジェクト」が新東京タワー構想を発表してすぐに、東京商工会議所豊島支部の関係者などで作る「特定非営利活動法人東京アーバンクリエイト21」が誘致活動を開始した。04年9月には区の助役を委員長とする「事業化準備委員会」が設立され、区も誘致活動に参加することになった。05年1月20日に池袋の豊島公会堂で開催された誘致推進大会には、地元選出の国会議員をはじめ、多数の関係者が詰めかけた。
災害時の防災空地のネットワークタワーを形成
事業化準備委員会が用意した事業計画案(概要版)によれば、「21世紀のユビキタス時代の担い手として相応しい、斬新で躍動的なシンボルタワー」は600メートル級で、地上330メートルと450メートルにそれぞれ第1展望室と第2展望室を設置する予定だ(イメージ図は比較表参照)。年間3000万人の集客を誇るサンシャインシティに立つ「サンシャイン60」の展望台の高さは240メートル。新タワーは初年度で300万人の集客を見込んでいる。
東京都土木研究所作成の資料(1987年)によれば、豊島区は武蔵野段丘に位置している。したがって同区は、他の新タワー建設候補地に比べて「地盤液状化」が発生しないという強みを持っている。
新タワーの地上部には防災広場を整備し、新タワーと分離して建設される27階建ての事務所棟(高さ135メートル)の低層階上部にも防災広場ができる。災害時の防災拠点として、サンシャインシティの防災広場とも連結して、防災空き地のネットワークが形成されることになる。
にぎわいの連続性を確保するために
同区が新タワーの誘致活動に力を入れるのにはわけがある。新宿や渋谷などの他の副都心と比べて、相対的に地位が低下しているとみられているからだ。東京都商工指導所が2000年に実施した「大都市消費者の繁華街出向行動の実証分析」などの調査では、まちの回遊性や新奇性の乏しさが指摘されている。
また、池袋は、JR線に加え私鉄2線と地下鉄3線が乗り入れるターミナル駅であるにもかかわらず、いまや通過駅になりつつあるという事情もある。埼京線は大崎まで延び、東武東上線は東京メトロ有楽町線と相互乗り入れになり、宇都宮・前橋方面から新宿を経由して横浜・鎌倉方面まで乗り換えなしで行ける「湘南新宿ライン」が増発されるなど、池袋駅で降りる必要性が低下しているからだ。
池袋駅東口からタワー建設地周辺まで「LRT」と呼ばれる次世代型路面電車を走らせる計画がある。「ケーブルライナー」と呼ばれる小型モノレールを整備する案も浮上している。「にぎわいの連続性」を確保して繁華街としてのマイナスイメージをぬぐい去り、「安心・安全の街づくり」を推進するために、豊島区にとって世界最大級のタワーは、のどから手が出るほど欲しいプロジェクトなのだ。(つづく)
写真:タワー建設予定地の奥には高さ240メートルのサンシャイン60(写真中央)が見える(撮影:吉川忠行)
■特集・どうなる?新東京タワー
最終回 4月には候補地が絞られる
第6回 さいたまタワー(埼玉県・さいたま新都心)
第4回 すみだタワー(墨田区 押上・業平橋)
第3回 新東京タワー(足立区・東六月と舎人)
第2回 台東ワールドタワー(台東区・隅田公園周辺)
第1回 600メートル級タワー、今月末には候補地絞り込みか
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初出:2005年03月14日21時03分 吉川忠行/ライブドア・ニュース
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