2007-02-06

特集・どうなる?新東京タワー(2)

台東ワールドタワー(台東区・隅田公園周辺)

[私が過去にニュース媒体で出稿した記事の再掲です]

 「売り」は大川端と江戸情緒。台東ワールドタワーの実現に向けて、台東区では民間主導の誘致運動が展開されている。

主役は地元商店街、町会や観光連盟。2001年秋には「『新東京タワー』区内建設誘致準備会」を立ち上げる。放送事業者が新東京タワーに関する新聞発表を行った03年12月の、実に2年も前のことである。あくまでも“協力”という姿勢を崩さない区に対して、新タワー誘致に向けての区民の盛り上がりをアピールするために、署名集めを行い、3万人分の署名を集めた。

建設予定地は、区立隅田公園や区民会館周辺。隅田公園は国有地、区民会館周辺の土地は区有である。駐車場は、タワー用地と同時に整備する予定だ。同準備会事務局の稲垣雅彦氏は、「単なる遊休地利用ではなく、地域活性化のための開発」であることを強調する。

タワーの高さは600メートルで、200階建てのビルに相当する(イメージ図はこちらを参照)。展望台は450メートル付近に設置される。高層ビル150階に相当する高さだ。観光・商業・娯楽・文化・産業支援関係の付帯施設が計画され、年間500万人の来訪者数を予想している。

タワーは誰のもの?

「六本木ヒルズや丸ビルに入っているようなテナントが台東ワールドタワーに入ることは想定していない」「そのようなことをしても、六本木ヒルズや丸ビルのコピーができるだけ」「世界の人に江戸情緒を見てもらいたい。だからタワーだけで完結しない計画にした」と稲垣氏は熱っぽく語る。

台東ワールドタワーには、浅草や上野などの老舗が入ることになるかもしれない。しかし重要なことは、タワーと周辺地域のあいだに人の流れを作り出すような仕掛けを考えることである。例えば、「かっぱ橋道具街」と連携して、海外からの観光客にも人気がある「食品サンプル」をタワーで展示する。タワーを訪れた人がそれを見て、プロの料理人などが道具を買いに行くことで知られる「かっぱ橋道具街」へ足を運ぶようになる、というわけだ。

台東ワールドタワーの事業主体については、地域活性化を考えると、「特定の企業が行うのではなく、地元中心が望ましい」という。特定企業が事業主体になると、タワー内で客の囲い込みを行ってしまい、周辺の商業地域にお客が流れにくくなるからだ。会社形態としては、第三セクター方式では責任の所在が曖昧になりがちなので、民間会社にしたいとのこと。

隅田川にタワーが映える

浅草界隈は昔、旦那衆が船で遊びに来る場所だった。そこで、台東ワールドタワーが完成すれば、「そこを起点にして、お台場や東京ディズニーランドに船で行く」という観光コースも考えられる。夏の花火も絶景だろう。「見返り美人」をイメージしたという台東ワールドタワーは隅田川によく映える。

2011年、はたして大川端にタワーが建っているだろうか。(つづく

隅田川から見た隅田公園方面(撮影:吉川忠行)

■特集・どうなる?新東京タワー
最終回 4月には候補地が絞られる
第6回 さいたまタワー(埼玉県・さいたま新都心)
第5回 新東京タワー(豊島区・池袋)
第4回 すみだタワー(墨田区 押上・業平橋)
第3回 新東京タワー(足立区・東六月と舎人)
第1回 600メートル級タワー、今月末には候補地絞り込みか



初出:2005年03月08日22時13分 吉川忠行/ライブドア・ニュース

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