2005-10-31

D2Hs→EOS-1D Mark II Nの感想 その2

10/12から使い始めたEOS-1D Mark II N(以下Mark II N)ですが、小泉首相の靖国参拝や東京モーターショー、TBS v.s. 楽天問題、中越地震の被災地など、様々な取材で活躍しております。特に100-400mmは「折りたたみ超望遠レンズ」として重宝してます。今回は前回気づいた点以外にふれてみようと思います。

1. 続・ファインダー表示
D2HsというよりニコンのカメラをF5以来使ってきた僕が、不便だなぁと思うのはファインダー表示です。前回ホワイトバランスがどのモードになっているかがファインダーで確認できないと書きましたが、それ以外にもありました。

あまり雑誌などでは指摘されていないようですが、マニュアルと絞り優先を撮影中に切り替える場合など、露出モードをニコン(D2Hsに限らずD1なども)ではファインダーから目を離さずに切り替えられるのが、Mark II Nでは、上部液晶でないと切り替えが確認できません。会見会場などで撮影が始まり、最初はマニュアルで撮っていて、一時的に絞り優先にしたいときなど、ちょっと不便です。

どうもEOSでは、何かを設定する場合は液晶を見て操作するのが前提のようで、ニコンのようにファインダーをのぞきながら変えるということは、あまり考えていないようです。"MODE"ボタンを押すとファインダー内が真っ暗になるのが悲しい...

2. 暗部でのAF性能
ニコンではD2Hsに限らず、F5からEV -1の暗さでも(明るいところはEV +19まで)測距できていますが、Mark II NではEV 0からになります(同EV +18まで)。ちなみにEOS 20DやEOS 5DはEV -0.5から測距できます。つまり全体的にキヤノンのAFは暗いところが苦手なようです。

Mark II Nだと、目で見て暗いなぁと感じる場所だと測距に迷う動きをします。先日日産自動車の中間決算の取材へ行ったのですが、この時も暗部のAF性能の違いは感じました。D2HsやD1Hではそれほど迷わない程度のやや暗めの照明だったのですが、Mark II Nでは少し迷ってました。ゴーン社長が出てきて照明が明るくなってからは問題なかったですが、それまでは「あぁ、やっぱり薄暗い所は苦手なんだなぁ」という感じでした。

写真はその日産の中間決算でのものです。日本人記者からの質問を、通訳のレシーバーで聞くゴーン社長です。

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2005-10-26

ショッピングバッグ販売機

1960~70年代あたりに作られたと思われる「ショッピングバッグの自動販売機」が長岡駅前のデパート?「丸専」にありました。

僕自身、幼少期に池袋の西武などで見かけた記憶があるのですが、最近はお目にかかっていなかったものなので、軽いショックと何ともいえない懐かしさがこみ上げてきました。

僕は地方都市に行くと、その土地のスーパーやデパートをなるべく見るようにしています。長岡のイトーヨーカドーに行って印象に残ったのは、エスカレーターの追い越し列が左側だったことです。東京では左側に人が立って、右側は先へ行く人が通るためにあけておくという暗黙のルールがあるのですが、長岡では(少なくともイトーヨーカドーでは)反対でした。

被災地取材という、どうしても重い内容の取材でしたが、この自販機にはいやされたような気がします。

2005-10-25

中越地震から一年

中越地震から一年ということで、会社の友人T君と2人で金曜から日曜まで取材に行ってきました。もちろん今回も自腹取材で、自動車は日産自動車さんのご厚意で広報車(自動車評論家が乗ってうんちくたれるクルマ)をお借りしました。宿代を払う余裕はないので車中泊でした。

旧山古志村を中心に長岡市の数カ所を取材しましたが、工事中の道路などを見ると、復興まではまだまだ時間がかかりそうでした。これは長岡駅前のような都心部でも山古志村でも同様で、豪雪地帯ゆえの工事の困難さが表れていると思います。このあたりの詳細は僕らの記事(「中越震災から1年、あす鎮魂の夜に」など3本)を読んでいただければと思います。

写真は日曜日に長岡駅前で行われていた「米百俵祭り」を見に行ったときに撮った道路の亀裂とそれを示すマーキングです。山古志村では未舗装のところでもこのマーキングが亀裂に沿って行われていました。

2005-10-17

D2Hs→EOS-1D Mark II Nの感想

D2HsからEOS-1D Mark II Nにメインを変更して、しばらく使った感想はこんな感じです。

---良かった点---
1. 高感度ノイズが少ない:
D2Hsもそんなにノイズが目立つわけではなかったのですが、EOS-1D Mark II Nはさらに目立たないという印象で、ISO1600も躊躇なく使えます。
また、800万画素なので掲載時の長辺600ピクセルまで縮小してしまうとノイズそのものが見えにくくなるのもメリットです。

2. 意外と使いやすかった:
購入前に量販店で、さんざんEOS-1D系をさわりまくったせいか、複雑といわれるEOS-1D系の操作に戸惑うことは予想より少なかったです。
測距点の選択は11点測距にして横方向のみを使い、アシストボタンだけ押すと中央に戻るようにしたり、FELボタンとメイン/サブダイヤルで測距点選択できるようにするなど、カスタマイズするとD2Hsには劣りますが、まずまずの使いやすさになります。
ただ、全体的に操作性はD2Hsのほうが良いです。F5以来の測距点選択ボタンはメニューの選択にも使えて便利です。EOS-1D系でのメニュー選択は、MENUボタンとサブダイヤルでメニュー選択後はSELECTボタンを押しながら項目を選ぶのですが、ここで再度MENUボタンを押して液晶を消してしまうことがよくあります。

3. 再生時の操作性の向上と液晶の2.5型化:
今回EOSに変更した理由の一つが、従来から指摘されてきたEOS-1D系の再生時にメニューの変更が出来ないなどの問題点の改良と、液晶の2.5型化でした。
液晶の大きさがD2Hsと同じで、画像を再生しているときもストレスなく使えるのであれば、EOSにしても問題ないなと踏んだわけで、実際この辺での不満はあまりないです。

---悪かった点---
1. ISO感度、撮影可能枚数、撮影枚数のうち、2つしか液晶に表示できない:
背面液晶が大型化した割にダメだなと思ったのが、この点です。D2Hsでは上面(撮影可能枚数、撮影枚数)と背面(ISO感度)を使ってすべて表示されていたので、D1Hに逆戻りした感じです。そのD1Hでさえ、背面液晶にISO感度が表示できたので、液晶を大きくしたのだからやってもいいと思います。現時点では上面液晶にISO感度、背面に撮影枚数を表示しています。

2. ファインダーにホワイトバランスが表示されない:
D2Hsのかゆいところに手が届く、良くできたファインダーに慣れてしまうと結構不便です。ホワイトバランス以外にも、EOS-1D Mark II Nでは上面液晶に常時ISO感度を表示する設定にしないと、ファインダーにISO感度は表示されないし、この場合撮影可能枚数がファインダーで確認できません。もともと撮影枚数が表示できないのもいかがなものかと思いますけど...
D2Hsではファインダーで重要なことがすべて確認できたのが、液晶を見ないと確認できないのは不便です。ついでに言うと、スピードライト充電完了の表示が赤ではないのも視認性から言うと悪いです。

3. 充電器がデカい:
D1Hの充電器よりもデカいです。電池を2つつなげられるので、一度に2つとも充電できると思ったら、1つが終わったらもう1つの充電を始めるというタイプでした。
あとはリチウムイオンじゃないというのも不満ではあります。

---まとめ---
画質についてはAP、ロイター、AFPなど外国通信社の大半がCanonにしていることからもわかるように、文句はありません。
ただ、操作性、ファインダーや液晶の表示内容、充電池の管理やコンパクトな充電器など、画質以外のほとんどの部分はD2Hsのほうが優れています。EOS-1D Mark II Nに慣れてしまえば大した問題ではありませんが、画質と同様に一度良いものを知ってしまうと、なんで今出すカメラなのに改善されないのか?と言いたくなるものです。

NikonはFマウントをかたくなに守るのに対し、CanonはD2000あたりからの操作性をかたくなに守っています。ともに見直す時期ではという声が新製品が出るたびに上がっているわけですが、どちらが先に変更するのでしょうか。

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2005-10-16

EOS-1D Mark II Nほかを導入

EOS-1D Mark II NをはじめとするCanonのシステムを10/12から使用開始しました。内訳はボディー2台、レンズ5本、スピードライト2台です。

---本体---
EOS-1D Mark II N x2
---レンズ---
16-35mm/F2.8
24-70mm/F2.8
70-200mm IS/F2.8
100-400mm IS/F4.5-5.6
Extender EF1.4XII
---スピードライト---
580EX x2
SB-E1 x1

今回もいつも通り自前でそろえました。会社があてにならないのと、今後のことを考えてCanonをメインで使うことにしました。ただ、Nikonも300mm/F2.8などを使うことがあるので、状況により併用、という感じです。

もちろん、これだけのものをすべて揃えられる貯金があるわけもなく、資金を調達した上でのことです。本当は乾燥機付きの洗濯機がほしい...

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2005-10-09

KNOPPIXのQTPartedでパーティション設定

とある会社で導入するThinkPadのハードディスクを2パーティション構成にするため、1年半ぶりにKNOPPIXを使ってパーティション設定を行いました。やり方をすっかり忘れていてちょっと手こずりました。

ThinkPadを購入された方はお分かりだと思いますが、Cドライブのみの1パーティション構成なので、Dドライブを設定する場合、市販のソフトなどを使ってパーティション設定を行わなければなりません。昨年T42を購入した際は、KNOPPIX 3.4を用いて行いましたが、今回は4.0.2のCD-ROM版をダウンロードして作業しました。

KNOPPIX 4.0.2のISOイメージからCD-ROMを作成し、ThinkPadをCDから起動するとKNOPPIXが起動します。そこで"QTParted"を使用してパーティションの設定を行うのですが、注意点がいくつかありますので、まとめてみます。
なお、"QTParted"についてはGoogleなどで検索してみてください。すでに多くの方が図入りで解説されています。

1. 2つ以上設定したパーティションはフォーマットを行っておく
ThinkPadの"Access IBM"を押すと、ハードディスクの不可視領域にあるOSが起動して、OSなどのリカバリーが行えます。複数のパーティションがある場合は「Cドライブのみリカバリー」が行えます。
このとき、あらかじめQTPartedで2つ以上のパーティションを設定し、フォーマットまで行っていないと、「Cドライブのみリカバリー」が行えず、1パーティションの出荷時の状態に戻ってしまいます。必ずQTPartedでパーティションの設定後にフォーマットまで行ってください。また、リカバリ−CDを使った場合も「Cドライブのみリカバリー」が行えませんのでご注意ください。

2. Dドライブ分はFAT32でフォーマットしておく
どうやらThinkPadのリカバリーOSではNTFSにデータを書き込めないようで、「Cドライブのみリカバリー」の開始直後に「展開できませんでした」というエラーで先に進めなくなるようです。なので、Cドライブ以外はQTPartedでFAT32フォーマットを行っておく方が安全だと思われます。Cドライブは作業開始後フォーマットされるので、NTFSフォーマットでも問題ありません。

2005-10-08

なぜ機材に投資するのか

僕は今の会社に入ってから、デジカメやレンズ、電送用のPCなど、多くの機材に受け取った給料以上の額を投じてきました。そして現在も通信費(FOMA代)など、出費は機材以外にもかさむ一方です。

確かにカメラやPCが嫌いなわけではありませんが、できることなら、旅行や食事など他のことにお金は使いたいです。もっと言えば、この会社は退職金が無いので、仮に65歳まで働くとした場合、現在の給与水準では年間80~90万円退職金としてプールしておかないと、一生働かざるを得ない状況になります。なので、機材への投資などしたくないです。

では、デジカメに投資する理由は何か。高い機材なら良い写真が撮れるというわけでもないです。写るんですでも良い写真を撮る人は撮ります。カメラに金をかけるのは「自分が撮りたいタイミングで確実に撮れる」、「毎週最低1000カット撮る状況でもシャッターが壊れない」といった確実性が第一の理由です。コンパクトカメラなどでよくありますが、シャッターボタンを押してもなかなかシャッターが切れないとか、雨に濡れたら壊れたとかでは困ります。取材現場で頼れるのは自分の機材だけです。その機材が壊れたのでは仕事にならないです。

レンズについては、明るいレンズほど背景をぼかせるほか、ファインダーでのピントの確認がしやすいのと、オートフォーカスのセンサーも明るいレンズの方が合焦精度が向上します。また、絞りの値が普通はF4やF5.6なのが、F2.8と1~2段分明るいので、暗いところでスピードライトを使えない所(美術館など)でも撮影できます。どうしても高価になりますが、悪条件でも撮れるレンズが必要なので、明るいレンズを導入することになります。

また、新規参入の報道機関となると、そもそも信用が無いわけで、それがサイトの写真を見たら、いかにも金をかけてないという安物感が伝わったら、見る人も減ると思います。国内外の通信社の写真も載る以上、極端に見劣りして「最初から信用失墜」という事態は絶対避けなければと思いました。もちろん、自分の写真が良いとか悪いとかを言いたいのではないです。ただ、記事よりも写真はそういう印象を一目見た時点で受けやすいので、注意が必要だと思いました。

僕が残念に思うことは、一般的に「高い機材=良い写真が撮れる」とか、「機材に金をかける=マニア」みたいな短絡的な発想をする人が多いことです。他の人はどうか知りませんが、少なくとも僕は理由のない機材購入はしていません。不要な物は1円でも買いませんが、本当に必要な物であれば、値段は買える範囲であれば考えません。必要だから買うというのが答えです。でもこういう考え方は理解を得にくいというか、単なる物好きにしか見られないようです。"残念です、本当に残念です"。

2005-10-07

AF-S VR 70-200mm/F2.8導入

望遠レンズでは防振機能(VR)付きが一般的になってきたので、9/29に思い切って購入しました。初陣はテスト撮影をする間もなく取材に出かけた、道路公団の民営化委員会です。普段であれば銀座などで一通り試し撮りをするのですが、この日は普段使っているAF-S 80-200を家に置いてきたので、買ってすぐ使うことになりました。

写真は猪瀬委員からの質問を受け、道路公団の近藤総裁(右)と相談する奥田理事です。「賭けゴルフ」事件とか、色々追求されてました。

最初のうちは防振レンズという物の特性がわからないせいか、防振なのに手ブレしているカットが結構あり、いつものAF-S 80-200のほうが良いくらいでした。

しかし、VRの働き方がわかってくると、おもしろいように手ブレが防げます。家に帰ってから2.0倍のテレコンをつけて400mmにしてカレンダーを撮ってみました。1/2.5秒のシャッターを切りましたが、ブレてはいるものの、数字が読めます。VRを切ると数字は読めません。それだけ本来手ぶれしているのだなと実感...判別不能な数字がとりあえず読める程度になるというのは驚きでした。

従来のレンズでも良いのですが、やはり良像率が向上することと、被写体ブレが起きない程度に絞り込めるというのは大きなメリットです。それに、このレンズを修理に出したとしても、AF-S 80-200が手元にあるので、何かあっても代替え品が借りられなかったらどうしようとか、心配せずにすみます。特にこの70~200mmという焦点域は、会見などで必ず使うので致命傷になります。

会社が機材を揃えてくれれば、万一のことまで考えずに済みますし、そもそも機材を買う必要がないのですが、「会社員なのに自営業」な現状では、機材が壊れたときのことまで考えておかないとマズいのが実情です。