特集・どうなる?新東京タワー(最終回)
4月には候補地が絞られる
[私が過去にニュース媒体で出稿した記事の再掲です]
新東京タワー(仮称)の候補地選定が大詰めを迎えている。ライブドアニュースで
は、これまで6回にわたって、新タワー誘致を進めている足立区、台東区、墨田区、豊島区、さいたま市の各候補地について紹介してきたが、いよいよ3月末には建設候補地が数カ所に絞られることになる。
そしてその後、NHKと在京民放テレビ5局で構成する「在京6社新タワー推進プロジェクト」(幹事会社:テレビ朝日)との間で個別的な交渉が行われ、放送事業者各社の株主総会で計画の承認を得た後、夏までには最終的な決定が行われる運びとなる。
放送事業者側が候補地に求めているもの
テレビ朝日の広報部によれば、タワー建設候補地の絞り込みに際しては、4つの条件が基準になるという。(1)600メートル級のタワーが建てられる土地であるか、(2)電波が関東圏に届くかなど技術的な問題はないか、(3)移動体向けのサービスが行えるか、(4)観光・文化的に周囲とマッチする場所であるか。
なお、今回取り上げた以外にも、練馬区や港区麻布台の郵政公社・飯倉分館などの候補地が取り沙汰されていると一部で報じられているが、いずれも現時点では具体的な計画が放送事業者側に提出されていないもよう。したがって、これまで紹介した候補地のどこかに決まる公算が高い。
タワーの経済効果はあるのか
各候補地が新タワー期待しているのは、集客による観光収入と地域活性化である。各候補地とも、地上数百メートルに設置予定の展望室への予想年間入場者数は約300万人。仮に入場料を1000円とすれば、30億円が見込める計算になる。日本電波塔株式会社によれば、現在の東京タワー展望台への年間来訪者数(2004年)は、大展望台(820円)が251万人、特別展望台(600円)が65万人なので、各候補地が出している予想入場者数は決して不可能な数字ではないかもしれない。
展望台入場料以外にも、駐車料、テナント料、放送事業者や携帯電話会社からのアンテナ設置場所の使用料などの収入も見込める。さらに、新タワーが立つことによる大きな経済波及効果も考えられる。たとえば、日本経済研究所は豊島区に新タワーを誘致したさいの経済効果を770億円と試算しているが、それは同区の17年度一般会計予算の約半分に相当する額である。
各地の得票数と読者からの反応
さて、ライブドアニュースが行った世論調査の最終結果によれば、1位・さいたま新都心(1555票)、2位・豊島区(1435票)、3位・墨田区(1319票)、4位・台東区(385票)5位・足立区(365票)の順だった。なお、「ふさわしいと思う新タワー」を選んでいただく調査だったが、「新東京タワーいらない」が986票もあった。
新タワー不要論の理由としては、地上デジタル放送に対する疑問の声が多かった。一方、観光資源として新タワーを歓迎するコメントも数多く寄せられた。たとえば、ターミナル駅が「通過駅化」して魅力を失いつつあるの新しい観光の目玉にしたい考える候補地がある。また、新タワーを核にして周辺一帯を新しい観光地にしたいと願う候補地もある。
いずれにしても、この半年以内に、新タワー建設予定地が決まることになる。【了】
写真:東京タワーの特別展望台の上には赤白のデジタルアンテナが取り付けられている(撮影:吉川忠行)
■特集・どうなる?新東京タワー
第6回 さいたまタワー(埼玉県・さいたま新都心)
第5回 新東京タワー(豊島区・池袋)
第4回 すみだタワー(墨田区 押上・業平橋)
第3回 新東京タワー(足立区・東六月と舎人)
第2回 台東ワールドタワー(台東区・隅田公園周辺)
第1回 600メートル級タワー、今月末には候補地絞り込みか
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初出:2005年03月19日18時52分 吉川忠行/ライブドア・ニュース
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